1週間のコマース領域の注目ニュースとスタートアップを紹介します。
アダストリア、ワールド、オンワード、パル、TSI、ユナイテッドアローズ等のアパレル大手の決算発表が行われました。
コロナの沈静化に伴い、各社の店舗売上が成長、コロナ前の水準に戻り始めています。EC売上も多くの企業で成長が見られ、特に複数の自社ブランドを購入できる自社モール型のEC店舗の改善や販促企画による自社EC売上が増加、ワールド、パルグループは前年比30%前後の躍進を遂げています。
・ファーストリテイリング 1309億円(前年比3.1%増2022年8月期)
・アダストリア 626億円(前年比8.9%増/2023年2月期)
・ベイクルーズ 545億円(直近不明/2021年8月期)
・ワールド 462億円(前年比30.1%増/2023年3月期)
・オンワードホールディングス 448億円(前年比9.5%増/2023年2月期)
・パルグループホールディングス 423億円(前年比28.7%増/2023年2月期)
・TSIホールディングス 388億円(前年比1.1%減/2023年2月期)
・ユナイテッドアローズ 303億円(前年比2.1%増/2023年3月期)
参考記事:https://www.tsuhanshimbun.com/products/article_detail.php?product_id=6774
Amazonは、Amazon上で購入した商品を提携店舗で受け取る際に10$を配布するキャンペーンを開始しました。
Amazonは配送コストの削減に注力しており、返品が多い商品に対するフラグの設置やUSP経由での返品に手数料を徴収する等の施策を行なっています。
今回の取り組みも店頭受取の増加により、ラストワンマイルの配送コストを削減する試みの一環と考えられます。昨今のダークストアやShopifyによるロジティクス事業の撤退をはじめ、物流ビジネスの収益性と持続可能性の両立は非常に難易度の高い挑戦と思います。顧客ファーストを掲げ、翌日配送の文化を作ってきたAmazonが、今後どのような配送のスタンダードを作っていくのか注目です。
Sheinは、廃棄物のリサイクル・再販の管理ソリューションを提供するQueen of Rawと提携して他社ブランドの過剰在庫を仕入れ、生地を再利用する取り組みを発表しました。
Sheinは、2050 年までにファッション産業を循環型の産業へ移行することを目的としたWorld Circular Textiles Dayに署名をしており、先日発表された再販プログラム「Shein Exchange」と今回のリサイクルによりサーキュラーエコノミーを推進していくそうです。
参考記事:https://chainstoreage.com/shein-repurposes-excess-inventory-other-retailers
設立年:2020年
国:米国
直近調達:140Mドル/23年5月/Series B & Debt Financing/
累計調達金額:197Mドル
主要投資家:LocalGlobe, Silicon Valley Bank, Koch Disruptive Technologies, Battery Ventures, Matt Robinson
会社HP:https://www.8fig.co
事業概要(2023年5月 調達時点):
・EC企業向けにCF計画AI・成長資金を提供
・顧客は月売上$8K以上のSMBが中心(shopify、amazonなど主要チャネル対応)
・EC企業向けのAI CFOを標榜し、サプライチェーン横断(在庫、配送、販促)でのCF(cash flow)計画をAIが策定
・年内にはCxOシリーズ(AI CMO、AI COO)を開発しSMB EC企業の経営支援を強化
・3年前の設立から$500Mを貸付
・マネタイズは$100K調達毎の$6-10kの手数料
・2022年は顧客数は10倍、ARRは9倍に成長
・$40Mをequity、$100Mをクレジットファシリティで調達
調達ニュース:https://techcrunch.com/2023/05/09/8fig-e-commerce-lending-supply-chain/
設立年:2017年
国:オーストリア
直近調達:20Mドル/23年5月/Series A/
累計調達金額:31Mドル
主要投資家:Speedinvest, Creandum, seed + speed Ventures, Founders Fund, Kompas
会社HP:https://www.prewave.com
事業概要(2023年5月 調達時点):
・サプライチェーンのリスク分析PF
・取引サプライヤーを登録すると、50+の広範なカテゴリー(財務、自然災害、事故、労働問題、コンプライアンス、政情不安など)のリスクを可視化
・リスク検知されたサプライヤーとはPF上からシームレスに連絡・タスク/案件管理が可能
・データソースは、公開情報(SNS・ウェブメディア・ニュースを独自AIでクロール)、独自情報(顧客・サプライヤーが独自にデータ登録、専門機関とデータ連携)を活用
・グローバルで50ヵ国語以上に対応
・顧客にはBMW、ルフトハンザ、PwCなど大手
・EUにおいては法改正によりサプライヤー選定の際のリスク評価の必須化の流れ
・本領域ではここ数ヶ月でIntegrityNext(独)が$109M、Overhaul(米)が$73M、Everstream(米)が$50M、Sesamm(仏)が$37M、Pando(印)が$30Mを調達
設立年:2022年
国:米国
直近調達:4Mドル/23年5月/Seed/
累計調達金額:4Mドル
主要投資家:Valor Equity Partners, Soma Capital, Jon Oringer, Day One Ventures, Yahya Mokhtarzada
会社HP:https://zamp.com/
事業概要(2023年5月 調達時点):
・消費税納税の可視化・自動化PF
・特徴1は数行のコード/APIで実装可能。EC、マケプレ、ERPビジネスが主な対象
・特徴2は完全なる自動化を実現。利用者は申請の承認ボタンを押すだけ。納税先、納税金額、書類の登録、申請までone-stopで実施可能
・特徴3オープンな価格モデルで競合(AvalaraやTaxJar)よりも安価
・背景として課税区域の複雑さがあり業務が煩雑(米国では1.2万の課税管轄区域や商品ごとの税率の違い、改定にも対応必要)
・解決している課題は年500時間に及ぶ作業量や正しく納税できているかの不安
・競合との違いは特化SaaSとしての課金モデル(安価・明朗)な点とソフトウェアの使い方の学習が不要である点
調達ニュース:https://techcrunch.com/2023/05/10/zamp-fintech-e-commerce-sales-tax/
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