1週間のコマース領域の注目ニュースとスタートアップを紹介します。
欧州議会と閣僚理事会は、売れ残りや返品によるアパレル在庫の廃棄を禁止し、再利用やリサイクルを促す法改正を合意したことを発表しました。
EUでは、先月末には2030年までにすべての包装資材を再利用可能もしくはリサイクル可能とする法改正を可決しており、環境問題に対する対策強化の姿勢が伺えます。
近年Sheinをはじめトレンドアイテムを低価格で大量消費する「ファストファッション」の流行により、世界のアパレル生産量は、2000年から20年間で約2倍に増加しているそうです。アパレルのリサイクル率は22%となり、生産量の増加に伴い、廃棄量のさらなる増加が予測されています。
現在欧米では、多くのアパレルブランドが自社アイテムの買取〜再販を強化しており、それを支援するTROVEやThredUp等のサービスも成長しています。国内でもFree Standardのようなサービスが誕生しており、世界的なトレンドとなっていくと考えられます。
参考記事:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05DFY0V01C23A2000000/?type=my#AAAUAgAAMA
Amazonは、アパレルの販売事業者に対する一部手数料を値下げすることを発表しました。
今回の引き下げ対象は、20ドル未満のアパレル商品となり、価格が15ドル未満の商品の手数料は17%から5%へ、15ドル以上20ドル未満の商品の手数料は 17% から 10% へ値下げされます。新たな料金体系は2024年1月15日から開始となるそうです。
この値下げは、Amazonの物流サービス利用料の値上げに伴う価格改定となっており、商品を顧客との距離が近いフルフィルメントセンターに配置するためのサービス料の新設や返品手数料の対象範囲の拡大が行われます。
一方で今回のアパレル販売手数料の値下げやFBA手数料の一部値下げ、一部商品・期間の月額保管料の値下げが予定されており、Amazonは全体の費用の上げ下げを勘案しても他の物流事業者よりも低価格で利用できるとしています。
参考記事:https://www.retaildive.com/news/amazon-cuts-referral-fees-apparel-sellers/701712/
資生堂は、CVCファンド「Shiseido Long Term Investments for the Future (LIFT) Ventures」の立ち上げを発表しました。
このCVCファンドでは、主に欧米を中心にビューティーウェルネス領域を対象に最新テクノロジーやプラットフォーム、成長が見込まれるブランド、新しいビジネスモデルを開発する企業を中心にアーリーステージのスタートアップへ投資していくそうです。
資生堂は、2016年にも資生堂ベンチャーパートナーズを設立、国内ベンチャーへの投資やオープンイノベーションプログラム「fibona」によるスタートアップ企業とのコラボレーション、中国でのShiseido Beauty Innovations Fund設立を行っていましたが、ベンチャー投資の多くはアジアを中心としていました。
今回の設立発表に伴い、LIFT Venturesは、第1弾としてバクテリオファージ技術を開発するPhi Therapeutics、第2弾としてメンズビューティブランド「PATRICKS」を手掛けるPatrick Kidd Holdingsへ投資したことが発表されました。
参考記事:https://www.businessoffashion.com/news/beauty/shiseido-venture-capital-fund-launches/
設立年:2022年
国:フランス
直近調達:4Mドル/23年12月/Seed/
累計調達金額:8Mドル
主要投資家:Breega, Samaipata, Daphni
会社HP:https://www.carbonmaps.io
事業概要(2023年12月 調達時点):
・食品業界に特化した炭素会計SaaS
・各種基準(HG Protocol, IPCC, ISO 14040等)に則ってScope3までの計算を自動化
・食品業界では排出量の90%はScope3と言われているが現状計算が煩雑かつ困難
・農業に特化することでDB(原料や地域など)が豊富で製品単位での排出量計算が可能
・eco-score(5段階評価の食品マーク)への活用も可能
・排出量に加え水消費量、使用土地面積、動物福祉なども算定
・リリース1年未満も既に数十の顧客が存在
・ 炭素会計SaaS領域はGreenly、Sweep、Persefoni、Watershedなど活況
設立年:2020年
国:米国
直近調達:18Mドル/23年12月/Series A/
累計調達金額:25Mドル
主要投資家:Accel, Gradient Ventures, 1984 Ventures, 2 | Twelve, Harvard Innovation Labs
会社HP:https://syrup.tech
事業概要(2023年12月 調達時点):
・オムニチャネルの在庫最適化AI
・過去実績、SNSトレンド、季節性等により製品のサイズ毎の需要をAIが予測
・仕入れ計画、在庫のリバランス(SCM縦断、店舗横断)をレコメンド
・仕入れリードタイム、発注最小ロット、在庫可能期間、個数などをカスタマイズ設定可能
・成果として10%定価販売の期間を伸ばし、80%在庫切れを削減
・アパレル業界では$250Bに及ぶ過剰在庫、廃棄コストが存在
設立年:2018年
国:米国
直近調達:50Mドル/23年12月/Series C/
累計調達金額:104Mドル
主要投資家:Bain Capital Ventures, Bessemer Venture Partners, Ridge Ventures, August Capital, Vulcan Capital
会社HP:https://www.getmaintainx.com
事業概要(2023年12月 調達時点):
・モダンなCMMS(設備保全管理システム)を提供
・現場作業員の設備点検の作業効率化SaaS
・タスク・人員計画、点検業務のデジタル化、稼働設備の把握、レポーティングなど
・センサー・IOTによるリアルアイム情報の取得、AI活用、モバイルファーストが特徴
・ダウンタイムゼロが社の目標
・21年から13倍の成長を遂げ顧客は6500社に
・UpKeep、FiiX、eMaint等の競合が存在
・本ラウンドでユニコーンに
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Commerce Market Trend 2022
2022年の海外・国内のコマース市場動向、資金調達・IPO・M&A動向、2023年の注目トレンドをまとめたレポート
Commerce Startup Funding 2022
2022年に資金調達したコマース領域の海外注目企業を紹介するレポート
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