1週間のコマース領域の注目ニュースとスタートアップを紹介します。New Commerce Venturesでは、コマース領域のスタートアップを支援しています。資金調達やアイディアの壁打ちは、メールもしくは大久保・松山のTwitterまでご連絡ください。
食料品や日用品などを最短15分で届けるクイックコマース「Yahoo!マート」の来店型店舗にてPayPayを利用した「顔認証支払い」の実証実験が開始されました。「顔認証支払い」は、事前にYahoo!アカウントに自身の顔画像を登録、セルフPOSレジで商品のバーコードを読み取り「顔認証支払い」を選択、自身の顔をかざすとPayPayでの決済が完了する仕組みとなっているそうです。
中国では数年前よりAlipayやWeChatPayを通じて、顔認証決済が導入され、セブンイレブンやケンタッキーフライドチキン、地下鉄の改札での導入などが進んでいます。認証はわずか0.3秒で完了するとのことで、スムーズに決済が可能な状況になっているとのことです。AmazonはAmazon Oneという手のひら認証の仕組みを自社店舗での導入やAWS経由での外販を進めています。
QRコードを読み込む作業が不要となる生体認証がどこまで浸透するか?ユーザーの利便性と読み取り側のデバイスコストのバランスが浸透の課題となりそうです。
参考記事:https://www.ryutsuu.biz/it/p041711.html
ヤマト運輸は、6月1日から関東〜中国・四国地方の一部地域で宅配サービス「宅急便」などの配達が1日遅くなると発表しました。これまでの配送日時の指定は「翌日14時以降」から「翌々日の午前中以降」になるとのことです。
コロナ禍において即日配送・即時配送がトレンドとなり、EC大手やダークストア・生鮮食品ECを提供するスタートアップが続々と配送時間の短縮を開始しましたが、直近ではこの揺り戻しが起きているように感じます。
ダークストア型のスタートアップGetirやFlinkはダウンラウンドでの調達を発表、Amazonも返品を一部有料化する等これまでのサービスの見直しが起きています。
国内では、ドライバー人員の不足は大きな課題となっており、2024年問題(時間外労働の上限規制を行う法改正に伴う人材不足・売上減少など)によりさらに深刻化することが予想されます。ECを支えるインフラでもある配送をアップデートするスタートアップの登場に期待しています。
参考記事:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC180YB0Y3A410C2000000/
TroveやThredupを中心にブランドに対して、自社サイトでの中古品の買取と再販を請け負う再販プログラムを提供する企業が成長しています。Thredupは、H&M、J. Crew、Kate Spade、American Eagle、TroveはCanada Goose、Carhartt、Lululemon、Patagonia、Levi’s、Allbirds等大手ブランドが導入しています。一方でオンラインでの再販はコストが高く、ほとんど利益を生んでいないのではないかと見立てが語られています。
ブランド独自の再販プログラム導入のメリットとして、環境への配慮をアピールするCSR効果と中古品をきっかけに訪れた消費者が中古品と新品をセットで購入するマーケティング効果があると考えられます。実際にPatgoniaのような環境に配慮したブランドが、この数年間ブランドの再販プログラムを牽引してきました。
一方でオンラインでの再販には、検品後の商品画像の撮影・商品ステータスの記入・オンラインへの登録等多くの作業コストがかかっており、粗利に対してこの作業コストが上回っている状況となっているようです。逆に店舗での再販では、このような作業が発生しないため、店舗とオンラインを組み合わせた最適化が求められているようです。国内でも買取〜再販や引き取り〜アップサイクルの流れが生まれてきており、利益率を高める仕組みを提供するスタートアップに注目したいと思います。
参考記事:https://www.retaildive.com/news/resale-ecommerce-profits-stores/646937/
設立年:2019年
国:米国
直近調達:53Mドル/23年4月/Series D/
累計調達金額:227Mドル
主要投資家:JP Morgan Chase, Gaingels, Y Combinator, Alumni Ventures, Tiger Global Management
会社HP:https://odeko.com
事業概要(2023年4月 調達時点):
・独立系カフェに業務支援SaaSを提供
・消費者向け注文サイトの構築支援、及び、400超のベンダーからの材料・備品等の仕入れPFを提供
・導入により週10時間の工数削減、66%のCO2排出削減、21%の原価削減が見込まれる
・顧客は1万を超え、売上はYOYで300%
・マネタイズは消費者からの事前注文の手数料5%(仕入れは手数料なし)
調達ニュース:https://techcrunch.com/2023/04/18/b-capital-odeko-restaurant-tech/
設立年:2020年
国:英国
直近調達:62Mドル/23年4月/Debt Financing/
累計調達金額:112Mドル
主要投資家:Northzone, LocalGlobe, RTP Global, Matt Robinson, Kunal Shah
会社HP:https://www.yondercard.com
事業概要(2023年4月 調達時点):
・月額£15の高還元率クレジットカード/app
・平均的なユーザーで実質14%程度の還元率(会員費控除後)
・通常利用では1ポンド利用で1ポイント貯まる
・ポイントは提携店舗で利用可能(通常支払いの場合でも5倍のポイントが貯まる)
・海外でも手数料率なしで利用可能。旅行保険も付帯。
・24/365の有人サポートで安心
・ロンドンを中心に展開
設立年:2021年
国:英国
直近調達:7Mドル/23年4月/Seed/
累計調達金額:7Mドル
主要投資家:Aleph, 83North, Christopher North, Juan Lobato, Yuval Samet
会社HP:https://www.joinfloodlight.com/
事業概要(2023年4月 調達時点):
・SMBのEC企業向けone-stopダッシュボード
・銀行口座、PayPal、Shopify、Zeroなどの分散された会計データを集約
・ファンナンス分析が容易に。専門家のアドバイスも受けられる
・1%キャッシュバックのバーチャルカードも利用可能
・外国為替の手数料0.5%以外全て無料
調達ニュース:https://www.finextra.com/pressarticle/96476/floodlight-raises-64m
New Commerce Venturesでは、コマース領域のスタートアップの支援、事業会社のオープンイノベション支援を行っています。資金調達やアイディアの壁打ち、オープンイノベーションのご相談は、info@newcommerce.venturesもしくは大久保・松山のTwitterまでご連絡ください。