1週間のコマース領域の注目ニュースとスタートアップを紹介します。
TikTokは、TikTok上で商品の販売ができるTikTok Shopと連携した新たなフルフィルメントサービス「Fulfilled by TikTok(FBT)」を英国で開始しました。
TikTok Shopは、ショート動画やライブストリームで商品を販売できる機能で、現在は米国、英国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムで利用可能となっています。特に東南アジアでは急速に成長しており、インドネシアのGMVは200億ドルを超える見通しです。
今回は発表されたFBTは、英国を対象としたフルフィルメントサービスで、販売者の在庫を保管、月曜から土曜の午後 7 時までに行われた注文は倉庫内でピッキング、梱包、発送を行い、翌営業日に配達するサービスを提供するそうです。
英国のTikTok Shopは、2021年に開始、2021年内にはヨーロッパでの拡大を目指していましたが、購入から配送までの配送遅延に対するクレームが多く、出品メーカー離れが相次ぎ、ヨーロッパ拡大は停止となっていました。その後、事業の立て直しとして、ChannelEngine (世界中の複数マーケットプレイスへ出品、一元管理できるソリューションを提供するオランダ企業)と提携、そして、今回のFBTにより配送に関する課題解決を図ると考えられます。
日本においても2010年代後半に大手のライブコマース参入が相次ぎましたが、その多くは撤退しました。一方で中国・東南アジアでのTikTok Shopの成長、米国でのWhatnotやFlip等のカテゴリ特化型ライブコマースの成長と動画コマース・ライブコマースの成長する兆しが世界中で見え始めていると感じます。日本でどのようなサービスが成長するのか?注目していきたいと思います。
参考記事:https://newsroom.tiktok.com/en-gb/tiktok-shop-uk-fbt-launch
Amzonは6月に商品レビューを要約するAIの活用実験を開始すると発表しましたが、先週一部商品で正式リリースされました。
レビュー要約は、商品詳細欄に掲載され、顧客の製品対するポジティブなコメント、ネガティブなコメントの双方を収集した要約が生成されるそうです。生成の参考となるデータは検証済みの購入のレビューのみとなり、 AI が生成した旨の注釈も記載されています。
また、商品の使いやすさやパフォーマンス等のタグが掲載され、各タグに該当するレビューを簡単に閲覧できる機能も実装されるそうです。
Amazonは、自社での偽造品検出や在庫管理等でのAI活用や独自の生成AIモデルBedrockもAWSを通じて提供しています。特にレビューにおいては、フェイクレビューの発見からブロックまでをAIで処理しており、昨年から2億件以上のフェイクレビューを発見、ブロックしているそうです。
豊富なデータと技術力を有するAmazonがコマース領域でのどのようにAIを活用していくのか?テックジャイアントのAI導入・強化に対して、スタートアップが対抗できるターゲット・ユースケースがどこなのか?我々としても検討していきたいと考えています。
参考記事:https://chainstoreage.com/amazon-summarizes-product-reviews-ai
アリババは、事業再編後初となる2023年4〜6月期の決算を発表しました。売上高が前年同期比14%増の2341億5600万元、純利益が前年同期比63%増の330億元と直近2年間は横ばいを続けていた売上が回復基調となっています。
アリババは中国政府のテクノロジー規制強化の影響を受け、停滞を余儀なくされていましたが、今年3月にはグループを6事業に分割する新たな体制を発表、6月にはジャック・マー氏の後を引き継いだダニエル・チャン氏が会長兼CEOを退任することが発表されました。分割された6つの事業グループは、各部門がIPOを目指しており、今回新体制として初の決算となっています。
事業別売上高では、中国国内中心のEC事業を手掛ける「淘宝天猫商業(Taobao Tmall Commerce)」が1149億5300万元(12%増)、国際デジタルコマース事業の「国際数字商業(Global Digital Commerce)」が221億2300万元(41%増)、クラウドサービス事業の「阿里雲智能(Alibaba Cloud Intelligence)」が251億2300万元(4%増)、物流事業の「菜鳥網絡( Cainiao Smart Logistics)」が231億6400万元(34%増)、生活関連サービス事業の「本地生活(Local Services)」が144億5000万元(30%増)、メディア事業の「大文娯(Digital Media and Entertainment)」が53億8100万元(36%増)、生鮮食品スーパーの盒馬鮮生などその他事業は455億4100万元(1%増)となっています。
主要事業である国内ECではプラットフォーム上での広告等を提供するCustomer management事業が成長、これにローカルサービスや物流サービスの成長が後押しとなり、成長鈍化するクラウドサービスを補い、全体が成長した形となっています。
設立年:2021年
国:米国
直近調達:18Mドル/23年8月/Series A/
累計調達金額:27Mドル
主要投資家:Alumni Ventures, First Round Capital, Operator Partners, Scribble Ventures, Acre Venture Partners
会社HP:https://www.letshighlight.com/
事業概要(2023年8月 調達時点):
・CPGブランド向け消費者宅製品テストPF
・テストする商品、目的、ターゲット層を伝えるとHighlightがユーザー選定(2.5万人のプール)からデータ収集まで実施
・ブランド企業はダッシュボードよりフィードバックのコメント・動画などが閲覧可能
・コンセプトテスト、味テスト、パッケージ調査、利用調査など製品開発の様々な工程のユースケース
・希望調査の完了率90%、1週間以内完了と早急なデータ収集が特徴
・ネスレ、ペプシなど100+の顧客が存在、売上は3倍成長
・従来、消費者製品テストには複数ベンダーと数百に登るメールでのやり取り、数ヶ月の時間、多額の費用が必要だった
・SKUが増加していく中95%が失敗すると言われている中、クイックに製品テストをするニーズも増加中
調達ニュース:https://techcrunch.com/2023/08/16/highlight-18m-cpg-product-testing-commerce/
設立年:2020年
国:米国
直近調達:2Mドル/23年8月/Pre-Seed/
累計調達金額:3Mドル
主要投資家:Techstars, Far Out Ventures, Techstars Ventures, Capital Eleven, StartFast Ventures
会社HP:https://www.in-seam.com
事業概要(2023年8月 調達時点):
・パーソナルショッパーの販売支援PF
・パーソナルショッパー、スタイリストや元百貨店の従業員など、優良顧客を個人で抱える方への販売活動の支援を行うPF
・従来商品提案・販売を行う際、個別にブランドとのやり取りが必要だった
・本PFにより、商品仕入、配送、販売条件の選択(委託、手数料)などをonestopで実施可能に
・現在125+のパーソナルショッパーが利用中
・ブランド側はDior, Khaite, Ganniなどの100+のハイブランドが揃う
設立年:2013年
国:米国
直近調達:20Mドル/23年8月/
累計調達金額:97Mドル
主要投資家:Techstars, Trinity Capital, Foundry Group, Techstars Ventures, Edison Partners
会社HP:https://macrofab.com
事業概要(2023年8月 調達時点):
・電子機器の製造受託PF
・設計基盤(PCBA)のアップロード・見積もりをネット完結で可能
・少量のプロトタイプ生産から大量生産まで発注可能
・当PF利用により、従来より40%早く、効率的な生産が可能に
・サプライ側は北米中心に100+の工場をネットワーク化
・過去BMWからも調達を受けるなど大手顧客が中心
調達ニュース:https://www.finsmes.com/2023/08/macrofab-receives-usd20m-in-growth-financing.html
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Commerce Market Trend 2022
2022年の海外・国内のコマース市場動向、資金調達・IPO・M&A動向、2023年の注目トレンドをまとめたレポート
Commerce Startup Funding 2022
2022年に資金調達したコマース領域の海外注目企業を紹介するレポート
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