1週間のコマース領域の注目ニュースと資金調達スタートアップを紹介します。
Shopifyは、ロジティクス事業をFlexportやOcadoへ売却することを発表しました。
Shopifyの2023年第1四半期の売上は前年同期比25%増の15億USD、営業損失は前年同期の9800万USDから倍増となる1.93億USDの赤字となり、これに伴い人員削減とロジスティクス事業の売却を発表しました。
ロジスティクス事業の売却では昨年5月に買収した48時間以内配送を導入できるフルフィルメントサービスのDeriverrをFlexportへ、2019年に買収した倉庫向けの自律走行ロボットを開発する6 River Systemsを英国のオンラインスーパーOcadoへ売却予定です。
ShopifyはこれまでもFlexportへの出資を行っており、今回の売却により従来の保有株式に加え13%の株式を取得、今後はFlexportがShopifyの公式ロジスティクスパートナーとなるそうです。
今回の背景には、コロナ禍でのEC急成長に伴い、周辺事業への拡大を進めていたShopifyですが、急速に成長するAIの活用を中心にメイン事業であるECプラットフォームの成長に注力していく意図とのことです。
Amazonが昨年12月に限定リリースをしていたTikTok型ショッピングアプリ「Inspire」が全米で利用可能になりました。
Inspireは、ユーザーが商品を紹介するショート動画を投稿、視聴者はそれらのコンテンツを視聴しながら数タップで商品が購入できる仕組みとなっています。
TikTok、YouTube Shorts、Instagram Reels に対抗するサービスとなっていますが、他サービスに比べ、視聴者が訪れる価値・視聴者から選ばれる価値はまだ不明瞭となっており、今後どのような価値を提供するかに注目したいと思います。
Amazonは先週音声AI開発を行うSnackable.AIの買収も発表、Alexaの強化も図っていく模様です。生成AI・動画・音声が新たな買い物体験をどのように作っていくか楽しみです。
3月末に発表されたECサイト構築SaaSのGMOメイクショップによるアプリプラットフォーム構想の開発パートナーが発表されました。
今回は、様々なShopifyアプリやEC関連ツールを提供するフィードフォース、UGCを活用したEC支援事業を行うREGALIの2社が開発パートナーとなっています。
アプリプラットフォームは2023年8月の開始を予定しており、国産ECサイト構築SaaSとしてアプリストア経済圏の構築に注目です。
参考記事:https://ecnomikata.com/ecnews/38868/
設立年:2019年
国:米国
直近調達:16Mドル/23年3月/Series A/
累計調達金額:36Mドル
主要投資家:Andreessen Horowitz, Founders Fund, M13, TQ Ventures, Abstract Ventures
会社HP:https://www.pietrastudio.com
事業概要(2023年3月 調達時点):
・DTCビジネスのone-stop立ち上げ支援
・サプライヤー探しから、フルフィルメント、ECサイト構築(含むshopify連携)、販売支援まで広範な支援
・サプライヤーは1000を超え、アパレル、飲食物、化粧品など広範な商品群
・支援内容はランクがあり有料プランは月$39~月$199。約10%が課金ユーザー
・10万超のアクティブユーザーが存在。22年はGMVはYOYで100倍に、売上は35倍に成長
・調達資金でEC enabler領域参入(返品管理やインフルエンサーマーケなどの多様なツール郡)・グローバル展開を予定
・元Uberメンバーで19年創業、21年にジュエリーマケプレから本事業へpivot
調達ニュース:https://techcrunch.com/2023/05/02/pietra-creators-dtc-commerce/
設立年:2022年
国:イスラエル
直近調達:6Mドル/23年1月/Pre-Seed/
累計調達金額:6Mドル
主要投資家:Andreessen Horowitz, Bossanova Investimentos, Crescendo Venture Partners, Cardumen Capital, yellowHEAD
会社HP:https://alison.ai/
事業概要(2023年1月 調達時点):
・クリエイティブ(Video)の分析プラットフォーム
・クリエイティブ内のパーツの形状、フォント、色、音楽や配置などを10+のAIモデルで詳細に分析
・クリエイティブ内のどのパーツ/部分が競合と比較し効果的だったかなどの分析が可能
・クリエイティブに対する詳細なフィードバックはMidJourney等でも活用可能
・YouTube, AdWords, AdMob, Facebook, Instagram, Snapchat,TikTok等に対応
・競合にはVidMob, Replai, Vizitなどが存在
設立年:2022年
国:米国
直近調達:3Mドル/5/Pre-Seed/
累計調達金額:3Mドル
主要投資家: Pacific Northwest seed funds Founders’ Co-op, Ascend VC, Fortson VC
会社HP:https://www.getfoundation.com/
事業概要(2023年5月 調達時点):
・B2B特化のECサイト構築支援
・サプライ側がstore作成→仕入先に案内するフロー
・卸先の一元管理・商品情報の一元化・卸先ごとの自由な価格設定・BtoCサイト(shopifyなど)との外部連携・チャネルごとの分析・フルフィル/決済システムとの連携などone-stopでのソリューション提供
・従来のエクセルやメール、PDFの商品情報等での煩雑な受発注業務を解決
・小規模店舗に卸すペット用品のサプライヤー・美容ブランドが初期顧客
・競合のshopifyに対しては、B2B特化の機能開発が難しい点で、faireに対しては、彼らのようなマケプレは手数料率が高すぎるという点に対して差別化する戦略
・創業者はヘッドレスコマースユニコーン「Fabric」の創業者
New Commerce Venturesでは、コマース領域のスタートアップの支援、事業会社のオープンイノベション支援を行っています。資金調達やアイディアの壁打ち、オープンイノベーションのご相談は、info@newcommerce.venturesもしくは大久保・松山のTwitterまでご連絡ください。