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【寄稿記事】DIGIDAY/2024年注目の コマース トレンド5選:生成AIの活用から人手不足の解消まで
2024/01/09
Adaptive Retail ~Walmartが語ったリテールの未来@CES 2024~
2024/01/23

2024年コマース領域の注目トレンド5選

2024/01/15

2023年、新型コロナウィルスによる外出自粛の解禁により、街には徐々に以前の賑わいが戻ってきました。

コロナ禍による外出自粛やリアルな場での接客業務の削減は、多くの小売企業にeコマースやリテールテックの導入を促し、さまざまなDXソリューションを生み出しました。この流れは2023年も加速し、eコマースやリテールテックの市場はさらに成長を続けています。

本記事では、コマース・リテール領域の2023年に話題になったスタートアップを振り返るとともに、2024年の注目トレンドを探っていきたいと思います。(本記事はModern Retailの記事を再掲載しています。)

 

1. 進化する業務ツール「生成AIネイティブSaaS」

 2023年にもっとも話題になったテーマはGenerative AI(生成AI)でしょう。ChatGPTに始まり、LLM(大規模言語モデル)を活用したスタートアップが雨後の筍の如く生まれ、停滞する資金調達環境のなかで、多くのAIスタートアップが大型資金調達を実施しました。

コマース領域での生成AI活用では、まず商品画像や商品紹介文、広告、SNS投稿などのクリエティブ制作を支援するスタートアップが注目を浴びました。

Typefaceは、ブログ記事や、SNS投稿内容を生成できるサービスで、Adobeの元CTOが創業したサービスとして話題となりました。Treatは、ECサイトの商品画像生成に特化したサービスで、商品の背景を自由に変更し、商品画像を生成、EC上でのCVRの向上に貢献しています。

商品画像の進化系として、アパレルのコーディネート画像においても生成AIが活用されています。Lalaland.aiは、バーチャルモデルが自社のアパレルアイテムを着用した画像を生成でき、従来のモデルのキャスティングや撮影、画像編集という作業を削減しています。Levi’sが導入したことでも注目されました。

 

画像だけでなく、動画を自動生成するスタートアップも生まれています。Pikaは、テキスト入力や画像アップロードなどをするだけで、簡単に動画を生成できるサービスです。OXOLOは、商品ページのURLやテキスト入力により、商品紹介動画を生成することができます。

多くの魅力的なソリューションが生まれる一方で、大手企業も同様のソリューションを続々とリリースしています。Googleは、商品画像の自動生成やバーチャルモデルに衣服を試着した画像を生成する機能を公開。Amazonも既存の商品画像から複数パターンの商品画像を生成する機能をリリースしました。metaは広告やSNS投稿用の画像生成AIを提供しています。

このように、コマース領域での生成AI活用は、大小さまざまな企業が乱立するレッドオーシャンとなっており、2024年は淘汰が進むと考えられます。

ホリゾンタルなサービスは、顧客基盤とデータを有する大手企業にとって優位であり、スタートアップは業界やユースケースに特化し、業務フローに深く入り込んだソリューションを提供する企業が成長すると考えています。

たとえば、Creative Forceは、アパレルブランドの商品画像の撮影・管理という業務支援ソリューションの機能として、AIによる画像生成を組み込み、業務効率化を支援しています。Captionsは、映像制作における面倒な業務をAIにより補完する業務効率化ツールを提供しています。たとえば、「えー」や「あの」のような口語的な言葉を自動で削除できるほか、視線や唇の動きの修正、背景画像の削除やノイズの削除など、これまでマニュアルで作業していた業務を効率化しています。

2024年は、このようなAI機能を用いて業務フローを効率化する生成AIネイティブなSaaS(Software as a Service)に注目したいと思います。

 

 

2. 交渉を自動化、チャットボットから「Negotiation as a Service」へ

もうひとつ、AIが急速に活用されている領域がチャットボットです。

Klarnaは、同社が提供するショッピングサービスでChatGPTと連携し、買い物に関する相談ができる(たとえば、友人の誕生日に何を買えば良いか?のような質問に回答してくれる)チャット機能を公開しました。メルカリも、予算やサイズ、色などの条件に応じておすすめの商品を紹介してくれるチャット機能を公開しています。また、GMOメイクショップは、タブレット端末に話しかけるだけで、AIがおすすめする商品を注文する高齢者向け「対話型コマース」の実証実験を進めています。

スタートアップでは、自分の好きなキャラクターと会話できるCharacter.AIが1.5億ドル(約215億円)の大型資金調達を行い、注目を浴びました。キャラクターAIでは、会話したいキャラクターを自分で登録でき、登録したキャラクターの特徴に応じて、キャラクターの返答も変化していきます。

チャットボットは従来、選択肢に基づき回答されるシナリオ型が主流でしたが、LLMの活用によりインターネット上の情報や自社のデータを基に最適な回答を生成でき、急激な進化を遂げています。

このようなチャットボットの進化と既存の機械学習を組み合わせた新たなソリューションも生まれてきています。

たとえば、Connectlyは、顧客の相談に対して、インスタグラムやWhatsAppなどのSNSのほか、SMSやWebチャットなどさまざまなチャネルで最適な商品をレコメンドするチャットボットを提供。顧客の購入履歴に応じてレコメンデーションを最適化し、CVRの向上を自動化しています。

Nibble Technologiesは、売上の最大化を指標に、割引交渉を自動化するチャットボットです。在庫状況に応じて売上を最大化する割引率を提示したり、複数個購入による割引の提案、割引だけではなくブランドが高価格である理由の説明など、店頭での接客と同様の交渉を自動化してくれるサービスです。

このような交渉を自動化するチャットボットは、B2Cの領域だけでなくB2Bの領域でも生まれてきています。Pactumは、自らをNegotiation as a Service(サービスとしての交渉)と呼び、小売事業者の仕入先との交渉を自動化するソリューションを提供しています。支払サイトや割引額など複数の条件を基に、利益を最大化するための業務を自動化しており、Walmartはパクタムを導入することで、交渉の68%で平均3%の利益向上に繋がったと発表しました。

このように、2024年には特定の指標に対して最適化するロジックを組み込み、交渉を自動化していくソリューションがさらに多くの領域で生まれると考えています。

 

 

3. 深刻化する人手不足に応える「従業員エンパワーメント」

新たな業務効率化ソリューションが生まれてはいるものの、小売店や飲食店における人手不足はまだまだ深刻な課題となっています。特に実店舗では、従来の店舗運営を継続できず、撤退や廃業に追い込まれる店舗も増加しています。地域によっては、店舗の撤退により、近隣で買い物できないという「買い物難民」も生まれています。

このような店舗の人手不足を解消するソリューションも多く誕生しています。たとえば、AmazonのJust Walk Outは、入店時に顧客のAmazonIDを取得、コンピュータービジョンを通じて顧客が手に取った商品を特定し、退店時にAmazonIDで自動決済されるレジレス決済システムを提供しています。また、RADARは、店内や倉庫内の在庫位置情報をリアルタイムで把握できるサービスを提供しています。また国内企業では、MUSEが、品出し業務を自動化する搬送ロボットを提供しています。

人手不足に対応するために、こうした店頭業務の自動化・省人化ソリューションとともに成長が期待されるのが、従業員1人あたりの生産性を高める従業員をエンパワーメントするソリューションです。

従業員エンパワーメントは2種類に分けられ、1つ目は、文字通り1人あたりの生産性を高めるソリューションです。たとえば、店舗スタッフの業務管理アプリ「STAFF START」を運営するバニッシュスタンダードは、販売スタッフが自社サイトやSNSに自社商品を紹介するコンテンツを投稿すると、その投稿を経由して生まれた売上に応じて、販売スタッフが評価される仕組みを開発しました。この仕組みにより、1人の従業員が店舗での接客に加え、インターネット上での販売促進を積極的に行うことができ、生産性が高まるというわけです。

2つ目は、従業員の満足度を高めるソリューションです。労働人口が不足するなかで、離職防止・採用強化は大きな課題となっています。

海外では、SparkPlugが、小売店や飲食店のスタッフが1人ひとり販売目標を設定し、目標を達成するとインセンティブが得られる仕組みを提供しています。目標達成状況はランキング化され、スタッフが閲覧できるため、スタッフの意欲を引き出す効果も生んでいます。同じくAxial Shiftは、飲食店向けにスタッフそれぞれの売上高、チップ、シフトなどをリアルタイムで閲覧できるサービスを提供しており、ほかのスタッフやほかの店舗の実績を見ながらゲーム感覚で競争することを促しています。

また、WorkStrideは、スタッフに対して、給与の早期支払いや、目標達成・社内表彰時のインセンティブ提供を管理できる仕組みを提供しています。

このようなインセンティブやゲーミフィケーション以外にも、福利厚生の充実や従業員向けのローン制度・教育制度など、従業員満足度を向上させるソリューションはまだまだ成長する余地があると考えており、2024年も引き続き注目したいと思います。

 

 

4. 特定のジャンルに最適化された「特化型二次流通マケプレ」

人手不足とともに社会課題となっているのが、環境問題です。企業も社会的責任としての環境対応が求められています。

特にコマース・リテール領域では、アパレルの大量廃棄やフードロスが問題視されており、従来廃棄されていた製品を資源として循環させるサーキュラーエコノミーが注目を浴びています。

再利用可能な原材料の開発から廃棄を削減するための製造方法やリサイクル技術、シェアリングやレンタルなど廃棄を減らすための消費方法、そして、廃棄物の回収からリセール・リユースの仕組みまで、各領域で多くのスタートアップが生まれています。

リセール・リユース分野では、メルカリやYahoo!オークションに代表される二次流通マーケットプレイス、セカンドストリートやブックオフに代表される買取事業者のように、大手がすでに存在しています。その一方で、これらの市場を狙う2種類のスタートアップが成長してきています。

1つ目は、イネーブラー型のスタートアップです。これらの企業は、ブランドに対して、買取から再販までの仕組みを提供しています。

Troveは、ブランドがECサイトで商品を受け取り、検品、買い取り、クリーニング、リペア、商品撮影をして、再びブランドのECサイト内で販売する再販プログラムを提供している企業です。買い取った商品は、ECサイトだけでなく実店舗でも販売することができ、ブランドは、ECに依存せずにマネタイズを図ることができます。H&Mやリーバイス、ルルレモン、パタゴニア、J.CREWなど多くのブランドも、このようなソリューションを導入しています。

ブランド自身が買取から再販までを担うことにより、環境問題への対応だけでなく、これまで二次流通マーケットプレイスへ流れてしまっていた自社ブランド商品の売上を、ブランド自身が獲得することができるようになります。さらに、既存商品よりも安価で購入できることから新たな顧客層の開拓にも繋がっています。

2つ目は、マーケットプレイス型のスタートアップです。この市場には、ebayやPoshmarkのような大手サービスがすでに存在していますが、新たなスタートアップは商材ジャンルに特化して成長を遂げています。たとえば、家電ではBack Market、家具ではKaiyoのようなサービスが存在します。

これらのマーケットプレイスは、家電であれば商品の点検から修理まで、PCやスマートフォンであれば初期化設定、家具であれば大型荷物の集荷から配送まで、高級ブランド品であれば真贋鑑定など、商材ジャンルに応じたオペレーションの設計が必要であり、このオペレーション設計に強みを持った企業が成長しています。

また、中古品ではなく余剰在庫の再販マーケットプレイスも存在します。会員制B2Bマーケットプレイスを提供しているGhostは、厳選された買い手だけに余剰在庫を販売することで、売り手のブランド毀損を防止しています。また、買い手が購入価格をオファーでき、売り手・買い手の双方にとって機会損失を防止する仕組みとなっています。

国内においてもすでに大手が存在する領域ですが、商材ジャンルを絞り、その商材に最適化したオペレーションを有する二次流通マーケットプレイスはまだまだ成長の余地があると考えています。

 

 

5. SNSとECは切っても切り離せない関係に 「ソーシャルコマースイネーブラー」

2023年に大きなニュースとなったのが、TikTokショップやTemuの急成長です。

TikTokショップは、2021年にインドネシアでサービスを開始し、東南アジア各国に事業を拡大しました。2022年の東南アジアでのGMV(流通取引総額)は44億ドル(約6200億円)に達したと言われています。特にTikTokショップを利用するインドネシアの販売事業者は200万社を超え、2023年のTikTokショップのGMVは200億ドル(約2兆8000億円)に達すると予測されていました。これに対して、インドネシア政府はSNSでの商品販売を禁止し、TikTokはインドネシアのEC大手Tokopediaを買収するに至っています。

 

また、中国PDDホールディングス傘下で多品種低価格ECのTemuは、2022年に米国でサービスを開始して以降急成長を遂げ、2023年に米国でもっともダウンロードされたiPhoneアプリとなりました。ティームーの流入経路の大半はSNSで、低価格という特性上、SNSで認知してそのまま衝動買いするという消費行動が生まれていると推測されます。これらの中国勢に対して、メタはAmazonと連携して、SNS内の広告上でAmazonの商品購入が完結できる仕様のテストを開始しました。

SNS経由のEC売上は、2023年には1.2兆ドルを超えると予測されており、従来以上にSNSとECの親和性は高まっています。

このような背景から、SNS上での販売を支援するスタートアップが多く生まれています。たとえば、In-Seamは、スタイリストやパーソナルショッパーが顧客に商品を販売する際の仕入れや配送などを管理できるシステムを提供しています。100以上の人気ブランドの中から販売することができ、その際のブランドとの交渉や仕入れ、梱包、配送などの手間を削減しています。

また、Dropは、SNSのDMを通じて顧客とコミュニケーション可能なソーシャルCRMを提供しています。CRM上では、これまでのSNS投稿に対する顧客のエンゲージメントを可視化して、DMによる営業や広告配信が可能です。

この流れはモノの販売に限らずサービスの販売においても生まれています。foraは、個人がホテルやアクティビティをパッケージ化して、個人へ販売できるプラットフォームです。トラベルアドバイザーとして登録すると、フォーラのデータベースからさまざまなホテルやアクティビティをキュレーションして、旅行者へ提案・販売でき、その際の保険や決済などはフォーラのシステムが担ってくれます。

国内においても、インスタグラムやYouTube、TikTokを通じて販売するブランドが成長しており、インフルエンサーに限らず、SNSを通じた販売は増加しています。2024年は、国内においてもSNSを通じてモノ・サービスの販売を支援するソリューションが多く生まれてくると考えています。

 

以上、2024年のコマース・リテール領域のトレンドとして、生成AIネイティブSaaS、Negotiation as a Service、従業員エンパワーメント、特化型二次流通マケプレ、ソーシャルコマースイネーブラーの5つに注目しています。もしこの領域で起業を目指している方がいたらぜひお話ししましょう!

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松山馨太
松山馨太
ヤフー株式会社入社後、広告営業を経て、株式会社GYAOへ出向、ネットワーク推進室室長、広告開発部部長として営業企画や放送局との事業開発等に従事。その後、地域課題の解決を目的として起業。 2018年よりYJキャピタル(現Z Venture Capital)に参画、アクセラレータープログラムCode Republicの共同代表として、シード期のスタートアップ支援に注力。 2022年より小売・流通をDX・SXするスタートアップを支援するNew Commerce Venturesを設立。

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