こんにちわ!New Commerce Ventures大久保です。
直近気になった成長しているコマーススタートアップについて5つpickしてご紹介します!
簡単にはなりますがpickした背景と会社概要をお話します。
1社目はホテル予約×拡張機能のDirecto Techです。
ユーザー体験ファーストの観点で拡張機能を駆使したスタートアップに注目しています。元々Paypalに$4Bでexitしたhoneyが本領域では有名ですが、過去に本ブログでも、クーポンレコメンドの「Checkmate」、小遣い稼ぎ「Benjamin」、高還元率クレカレコメンド「Kudos」、類似商品レコメンド「goodbuy」、仕入れ商品検索「Ghost」、中古商品レコメンド「Faircado」など様々な拡張機能スタートアップを紹介してきました。Directoは旅行領域の拡張機能です!
設立年:2023年
国:米国
直近調達:1Mドル/24年6月/Pre-Seed/
累計調達金額:2Mドル
主要投資家:Calafia Iberia, Derive Ventures, Kima Ventures
会社HP:https://getdirecto.com
事業概要:
・ホテル/民泊を安く予約できる拡張機能
・booking.comやAirbnb等OTA閲覧時に閲覧ホテルの自社サイトを表示
・一般的にPFに対する手数料を払う必要がない分自社サイト予約の方が安く泊まれる
・安く泊まる方法をまとめたSNS投稿がバズっていること見て本事業を着想
・課金はホテルにサブスク型で実施
・11.5万ユーザーがおり、20万ホテル、数百万室に対応中
・拡張機能を活用することで巨大PFと対抗するのではなく巨人の肩に乗る事が可能に
調達ニュース(2024年6月 調達時点)
https://techcrunch.com/2024/06/27/directo-turns-a-tiktok-travel-hack-into-a-deal-finding-chrome-extension/
2社目も拡張機能領域のLOCLERです。
こちらも拡張機能領域のスタートアップで、お気に入り商品のまとめに注力しているサービスです。拡張機能だけだとスケーラビリティの点で限界が来ると思うので、今後の機能/マネタイズ手段の拡張に注目です!
設立年:2020年
国:米国
直近調達:3Mドル/24年2月/Seed/
累計調達金額:3Mドル
主要投資家:Kit Getz, Chris Arreguin, Tariro Makoni, Sadie Loving, Cabell Hickman
会社HP:https://www.wantlocker.com/
事業概要:
・お気に入り商品のリストを保存/公開する拡張機能/app
・「ホームファッション」、「好きな本」といった形でカテゴリごとに商品リストをpinterestのようなUIで保存可能
・マネタイズはアフィリエイトで平均12%程度(プランによって最大25%)
・ユーザーにはプロダクトの紹介人数に応じてフィーを付与しバイラル成長を図る
・他社のLTK、Collective Voice、Splitのようにインフルエンサーの投稿経由での売上発生時の報酬を出さないことで純粋に欲しい商品が集まるSNSを目指す
・24年2月時点でMAUは8万
調達ニュース(2024年2月 調達時点)
https://techcrunch.com/2024/02/22/locker-organizes-your-shopping-links-into-virtual-wish-lists-and-collages/
3社目はオムニチャネルマーケ支援のPear Commerceです。
オムニチャネル×マーケティング領域も引き続き注目しています。CPGブランドは卸経由の売上が大半なことが多いですが、そういったブランドでも、小売サイトでの行動データをトラックできるようにして、D2Cブランドと同様の顧客分析、マーケティング施策を実施できるようにするというコンセプトが面白いです。それを実現するために、小売側の在庫情報を日次でトラッキングし、ブランドECサイトと小売ECサイトで連携していくという切り口も独特で面白いと思いました!
設立年:2018年
国:米国
直近調達:10Mドル/24年6月/Series A/
累計調達金額:11Mドル
主要投資家:gener8tor, Stage 2 Capital, M25, Dundee Venture Capital, Heartland Ventures
会社HP:https://pearcommerce.com/
事業概要:
・CPGブランド向けのオムニチャネルマーケティングPF
・デジタルマーケティングを効率化する複数プロダクトを提供
・3000の小売事業者、16.5万店舗以上の小売EC/実店舗小売での商品在庫を毎日確認しDB化しているのが特徴(オンライン情報を取得)
・例えば、“在庫あり”商品のみブランドページや広告出稿で利用可能。
・Pear Connectではメーカーが出稿している広告から直接、小売サイトの決済ページに遷移することで29倍の効率化を実現(例えば、ユニリーバのシャンプーの広告のサムネイルに、walmartやtargeやamazonなど“在庫あり”小売ページを表示、直接遷移。)
・遷移工程が減ることで離脱も減る。また顧客が好きな小売店で購入できるようにしている点が特徴
・また地図上に購入できる店舗が表示される“近くで買う”機能も提供
・その他、自社ページへの小売店遷移モジュールの組込みや、細かな顧客分析からマーケティングへの活用なども可能
・D2Cブランドと同程度の顧客理解を(小売店に卸していることが一般的な)CPGブランドにもたらすことがミッション
・YOY5倍の成長。CPGブランドtop20社の内5社が顧客
調達ニュース(2024年6月 調達時点)
https://www.prnewswire.com/news-releases/pear-commerce-secures-10m-in-series-a-funding-to-transform-shoppable-media-and-enhance-retail-ecommerce-strategies-302184525.html
4社目はEC開発の効率化支援のVortex IQです。
ECに特化してAIを活用して開発プロセスを効率化していくという切り口ですが日本においても独自のカートシステムがあるため日本版もあるのでわ、と思いました!
設立年:2023年
国:英国
直近調達:2Mドル/24年7月/Seed/
累計調達金額:2Mドル
主要投資家:Techstars, Sure Valley Ventures
会社HP:https://www.vortexiq.ai/
事業概要:
・EC開発の効率向上支援AI
・サイトの診断からサイトパフォーマンスの改善案の提案、実装までをAIが支援
・テスト環境から本番環境への移行やデータマイグレーションを効率化。ダウンタイムを40%削減
・BigCommerce、Adobe、Shopify、Magento等と連携(特にBigCommerce、Adobeとの連携に注力)
・半年で顧客は2倍になり100社以上が導入。クリスピー・クリーム、ハーレーダビッドソンなどが顧客
・Adobeの開発パートナーとして著名だった創業者等で起業
調達ニュース(2024年7月 調達時点)
https://www.thesaasnews.com/news/vortex-iq-raises-1m-in-funding-round
5社目は、学校特化型SNS/マケプレのFizzです。
facebookにも近しい成り立ちではありますが、今のZ世代はfacebookを使っていない人も多いということで、成長中。それを思うと、1世代前の初期成長パターンの再現は他の事例でもできそうですね!利益が求められる今の時代、マネタイズなしで大型調達してグロースに注力しているというのも面白い挑戦です!
設立年:2020年
国:米国
直近調達:25Mドル/23年8月/Series B/
累計調達金額:42Mドル
主要投資家:Owl Ventures, Rocketship.vc, K5 Global, Green Sands Equity, Lightspeed Venture Partners
会社HP:http://fizzsocial.app
事業概要:
・学校毎の匿名型SNS/C2Cマケプレ
・学校SNS(校内ニュース、雑談、DM、投票…)として元々成長
・240大学、60高校で運用されており、学校のメールアドレス認証により参加可能
・匿名にすることで自由な議論が発生することを意図。
・一方、匿名が故にコンテンツの安全チェックが重要で学生バイトとAIで運用(一度追放されると再登録できない)。
・30人のフルタイムと4000人のボランティア
・今年春にマケプレ機能をリリース。洋服、教科書など5万商品が出品済
・ペイメントは実装されておらずマネタイズは未実装
・元々スタンフォード学生2人が起業
調達ニュース(2023年8月 調達時点)
https://techcrunch.com/2024/06/26/dappier-is-building-a-marketplace-for-publishers-to-sell-their-content-to-llm-builders/
お読みいただき有難うございました!今回ご紹介したDirecto Tech、LOCKER、Pear Commerce、Vortex IQ、Fizzのような事業を検討されている方いらしゃればぜひDMかオフィスアワー等でお気軽にご連絡ください!
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▼2023年に資金調達したコマース領域の海外成長企業を紹介するレポート
https://newcommerce.ventures/news/1354/