1週間のコマース領域の注目ニュースとスタートアップを紹介します。
H&Mは、返品の有料化を欧州と米国の一部地域で開始していることを発表しました。
手数料が発生する返品は、H&Mのロイヤリティプログラムの非会員且つオンラインでの購入を対象としており、英国では1.99 ポンド、米国では5.99ドルを徴収しています。
NRFの発表では、米国のオンライン購入での平均返品率は16.5%となっており、返品による無駄な梱包コスト・配送コストや返品詐欺による多くの損失が発生しています。
今回のH&Mの取り組みは、返品の有料化により返品に係る損失を削減しつつ、ロイヤリティプログラム会員を無料とすることで、会員の増加を図る施策として魅力的な施策であると感じました。
欧米に比べ返品率は低い日本ですが、一方で人口減少率が高く、返品に係る無駄なリソースの削減はますます重要となってくると考えられます。返品率を下げつつも自社会員を増やす施策は日本ならではの応用も生まれてくるのではないでしょうか?
参考記事:https://www.retaildive.com/news/hm-expanding-online-return-fees-more-markets/694207/
Amazonは、レジ決済不要で通過時自動決済を提供するJust Walk Outシステムの新バージョンを発表しました。
これまでのJust Walk Outは、無人コンビニAmazon GOやAmazon Freshの基盤として、入店時に顧客のAmazonIDを取得、コンピュータービジョンを通じて顧客が手に取った商品を特定、退店時にAmazonIDで自動決済されるレジレス決済システムを提供していました。
今回の新バージョンでは、RFIDタグを活用して商品の特定から決済を行う仕組みを提供、試着や店内の別の場所に商品を戻す等の行為が発生する衣料品を対象として開始するそうです。
コンピュタービジョンベースのレジレス決済とRFIDタグベースのレジレス決済をラインナップすることにより、従来のコンビニ・スーパー以外のカテゴリへの拡大も強化していくようです。
先週は他にも「Buy with Prime」のカート機能リリース(これまでの1クリック購入から複数商品をカートに入れて購入できる)、「Alexa」の顧客体験向上を目的とした生成AI導入を発表しており、コマース体験の進化を続けています。
参考記事:https://www.cnbc.com/2023/09/19/amazon-will-now-allow-cashierless-checkout-for-clothing.html
先週は、買い物代行のInstacart、EC事業者向けのメールマーケティングソリューションKlaviyoのコマース企業2社が株式公開しました。
Instacartは、9月19日にNASDAQへ上場、初値は42ドルと公募価格の30ドルを40%程上回りましたが、現在は30.65ドルで、時価総額は84.79億ドル(約1.25兆円)となっています。Instacartは、2021年3月の資金調達ラウンドで390億ドルの評価額となっていましたが、約1/4のダウンラウンドでの上場となっています。
Klaviyoは、9月20日にNY証券取引所へ上場、初値は36.75ドルと公募価格の30ドルを23%上回る結果となりました。現在は33.72ドルで、時価総額は84.93億ドル(約1.25兆円)とInstacartと同規模の評価額となっています。
両社の株価は公開日は高騰したものの公募価格同等の金額を推移しており、今後のレイターステージの株価算定にも影響を与えそうです。
※上記株価・為替はいずれも9月22日時点です。
参考記事:https://www.ft.com/content/665137ac-0c93-4b08-8ca0-7197d835e9cd
設立年:2017年
国:米国
直近調達:6Mドル/23年9月/Seed/
累計調達金額:9Mドル
主要投資家:KEY Investment Partners, Phyto Partners, GreenAxs Capital, WGD Capital
会社HP:https://katalys.com
事業概要(2023年9月 調達時点):
・embedded-commerceを提供
・次世代型アフィリエイトの事業
・メディア企業は自社媒体でカート実装が可能に
・ユーザー体験向上、売上向上(アフィより高料率)、購買データの獲得が見込める
・媒体側は1500+のメディア(4億人超のリーチ可能)と連携済
・商品側は1万超の商品に対応し、$100M+のGMVを過去創出
調達ニュース:https://hellopartner.com/2023/09/21/katalys-expansion-aims-to-shape-the-future-of-commerce-media/
設立年:2020年
国:米国
直近調達:9Mドル/23年9月/Series A/
累計調達金額:13Mドル
主要投資家:Antler, MAGIC Fund, AAF Management Ltd., BankTech Ventures, Sopra Steria
会社HP:https://www.vero-technologies.com/
事業概要(2023年9月 調達時点):
・inventory-financing領域のLending-as-a-service事業
・従来、銀行は製造業のディーラー(自動車、農業、建設等)には複雑な商流ゆえ融資ができなかった
・Veroのプロダクトにより銀行はディーラー向け融資事業への参入が可能に
・プロダクトでは引受、監査、在庫管理、リスクマネジメントなど広範な業務をカバー
・ディーラー向けSaaSもありデジタルで融資申請・手続きが可能
・ディーラーも融資調達が可能となり成長加速が可能に
設立年:2017年
国:米国
直近調達:12Mドル/23年9月/Series A/
累計調達金額:30Mドル
主要投資家:Pear VC, Playground Global, Afore Capital, Toyota Ventures, The House Fund
会社HP:https://www.boxbot.io/
事業概要(2023年9月 調達時点):
・倉庫作業自動化ロボット
・保管、ピッキングを全自動で行う
・特徴は荷物サイズに合わせた自動配置、コンベア経路のカスタマイズ性
・従来の4倍の処理効率を実現(半分のスペースで2倍の荷物を処理)
・車積載まで15分で完了とラストワンマイル領域の課題を解決
・今回Toyota ventures等から調達
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Commerce Market Trend 2022
2022年の海外・国内のコマース市場動向、資金調達・IPO・M&A動向、2023年の注目トレンドをまとめたレポート
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