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㈱カインズCEO高家氏登壇『店舗DX海外視察2025』イベント開催レポート

2025/09/04

こんにちは。New Commerce Ventures株式会社の大久保です。

本記事では、2025年7月29日に、株式会社カインズ代表取締役社長 CEO 高家 正行氏をゲストにお招きし開催した「店舗DX海外視察2025」の内容をご紹介します。本イベントでは、①NRF2025APACの視察報告、②高家氏のご講演、③高家氏とのトークセッションを行いました。①については、視察報告の内容を別ブログでご紹介させていただいています(視察レポートもダウンロード可能)。本記事では、②高家氏の基調講演、③高家氏とのトークセッションの概要をご紹介いたします。

高家氏による基調講演

カインズの変革を支える「フルパッケージ」戦略

高家氏は、2019年の社長就任以来、カインズが取り組んできた変革は「フルパッケージ」であると語ります。その根幹をなすのが、顧客接点と自社基盤を両輪とする6つの戦略パッケージです。

顧客接点においては、「SBU戦略(商品開発)」「空間戦略(体験価値)」「デジタル・マーケティング」「販売・サービス戦略」の4つを掲げています。単に商品を売るだけでなく、独自の価値を持つ商品開発や、店舗での体験価値の最大化、デジタルとリアルを融合させたマーケティング、そして社名の由来でもある「Kindness」を軸としたサービスを通じて、顧客とのあらゆる接点で価値を創出することを目指しています。

これらの顧客戦略を支える自社基盤として、「生産性改革・SCM戦略」と「DIY HR(Kindness推進)」を位置づけています。オペレーションと物流インフラの最適化、そして「くらしDIY」を支える自律的な組織文化の醸成が、戦略の実現に不可欠であるとの考えを示しました。

くらしDIYについて(参考記事):https://www.cainz.co.jp/corporate/philosophy/

デジタル戦略の要諦は「顧客体験の向上」

カインズのDXは、単なる業務効率化を目的としていません。高家氏は、デジタル戦略の目的を「Stress-free」「Personalize」「Community」「Emotional」の4つに明確化していると説明します。

  1. Stress-free:店舗とデジタルの垣根をなくし、買い物のわずらわしさを解消します。
  2. Personalize:デジタルツールを用いて、顧客一人ひとりに寄り添った提案を行います。
  3. Community:顧客の「お悩み」を起点に、くらしを支えるつながりを構築します。
  4. Emotional:便利なだけでなく、発見やアイデアにあふれる「体験の場」を創出します。

この明確な目的設定が、数々の施策を生み出す原動力となっています。

カインズのデジタル戦略(参考記事):https://agenda-note.com/conference/detail/id=5217&pno=1

NRFから見る、日米アジアの小売トレンドの違い

講演の後半では、世界最大級の小売業イベント「NRF」の潮流にも触れました。高家氏は、欧米とアジアではチェーンストアの成熟度が異なり、それがDXのアプローチの違いに表れていると語りました。

アメリカを中心とする欧米では、確立されたチェーンストアが、既存のオペレーションや顧客基盤を前提に、いかにデジタルやAIを活用して高度化していくかという点が焦点となっています。一方で、チェーンストアの仕組みが未成熟なアジアでは、ECやスマートフォンを使いこなす若い世代が消費の主役であり、彼らのライフスタイルに合わせた新しい小売体験をゼロベースで構築しようとする動きが活発だとのことです。

この対比から、日本の小売業が進むべき道を考える上で、両者の動向を注視する必要があるとの見解を示しました。

感想

基調講演の内容をお聞きして、カインズの力強い成長は、明確なビジョンと、それを実現するための顧客基点での包括的な戦略、そして変化に迅速に対応できる技術基盤に支えられており、同社の変革の裏側にある思想と、グローバルな視点から見た小売業の未来像を深く理解する上で、非常に示唆に富む内容でした。

高家氏、カンリー辰巳氏、クロスビット小久保氏のトークセッション

質疑応答形式で行われたトークセッションでは、小売業界が直面する人材採用の課題から、デジタル化の推進、グループ連携、そして未来の店舗像に至るまで、多岐にわたるテーマについて語られました。

長期的視点に立った人材戦略と「働く楽しさ」の追求

セッションの冒頭、小売業界共通の課題である人材採用について議論が及びました。高家氏は、短期的な対策として各店舗の状況に応じた人員コントロールやメディア活用に取り組んでいるとしつつも、本質的な解決策はES(従業員満足度)およびEX(従業員体験)の向上にあると強調しました。

特に、海外のトレンドとして、オペレーション効率化を重視する米国と、「働く楽しさ」を追求するアジアの対比を提示しました。カインズとしては、テクノロジーを活用した業務効率化を進める一方で、従業員一人ひとりが働く目的や意義を見出せるような環境づくりが不可欠であるとし、両軸でのアプローチの重要性を説きました。多様な従業員に対し、いかに働く意義を提供し、エンゲージメントを高めていくかという長期的な視点が、これからの人材戦略の核となることを示唆しました。

デジタル人材の内製化と柔軟な組織・採用戦略

次に、事業変革を支えるデジタル人材の確保について、同社の具体的な取り組みが明かされました。カインズでは、業界内でも比較的早期にデジタル人材の内製化に着手したとのことです。小売業の従来の労働条件とは異なる働き方に対応するため、別会社を設立して柔軟な給与体系や就業規則を適用したり、都心にオフィスを構えたりといった工夫を凝らしてきたといいます。

さらに、国内での採用競争が激化する中で、ベトナムやインドといった海外の優秀なエンジニア人材を活用するオフショア開発も推進しています。これにより、コストを最適化しつつ、高いパフォーマンスを維持する開発体制を構築しているとのことです。トップダウンの意志決定のもと、従来の枠組みにとらわれない柔軟な組織・採用戦略が、同社のDXを力強く牽引していることがうかがえます。

グループシナジーとリアル店舗の未来像

セッション後半では、ECとリアルの関係性についても話が及びました。今後の戦略について、ECに完全に舵を切るのではなく、あくまで最終的な顧客接点はリアル店舗にあるとの考えを明確にしました。その上で、現在の店舗フォーマットが10年後も最適とは限らないとし、「空間戦略」の重要性を強調しました。顧客の購買行動の変化を捉え、1万平米にも及ぶ広大な店舗空間のあり方をゼロベースで再定義していく必要があると述べました。店舗に来る前のデジタル接点から、店舗での体験、そして購入後の関係性までをシームレスに繋ぎ、新たな顧客価値を創造していくという、未来の小売業の姿が示されたセッションとなりました。

今回の講演を拝聴し、カインズの強みは、顧客体験の向上という明確なビジョンに基づくDXと、それを支える「人」への長期的な投資にあるのだと、私自身は感じました。特に、従業員満足度やデジタル人材の内製化を重視する姿勢が印象に残り、その企業文化の素敵さを感じさせられた時間でした。

登壇者プロフィール

高家 正行 氏(株式会社カインズ 代表取締役社長 CEO/株式会社ハンズ 代表取締役会長)

1963年東京都生まれ。1985年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、株式会社三井銀行(現:三井住友銀行)に入行。1999年にA.T.カーニー株式会社に転職。2004年に株式会社ミスミ(現:ミスミグループ本社)に入社し、2008年には代表取締役社長に就任。2013年まで務める。2016年に株式会社カインズ取締役に就任後、2019年より代表取締役社長に。2022年からは東急ハンズの再建も担い、同社を株式会社ハンズとして再スタートさせた。

辰巳 衛 氏(株式会社カンリー 代表取締役Co-CEO)

2015年、早稲田大学理工学部卒業。双日株式会社に入社し、M&A・投資審査業務を経験。米国公認会計士資格を保有。2018年に株式会社カンリーを共同創業。「カンリー店舗集客」を含む複数のSaaSプロダクトを展開し、全国11万店舗以上に導入されている。

小久保 孝咲 氏(株式会社クロスビット 代表取締役)

早稲田大学政治経済学部卒。在学中に人材業界で法人営業マネージャーを経験。シフトや働き方の課題にテクノロジーでアプローチすべく2016年に株式会社クロスビットを創業。クラウド型シフト管理システム「らくしふ」を主軸に、全国の小売・サービス業の現場支援を行う。

大久保 洸平 氏(New Commerce Ventures株式会社 代表パートナー)

東京工業大学大学院(技術経営専攻)修了後、ヤフー株式会社に入社。Yahoo!ショッピング部門で広告・EC事業立上げを担当。その後、YJキャピタル(現Z Venture Capital)にてスタートアップ投資を推進。2022年、コマース領域に特化したベンチャーキャピタルとしてNew Commerce Venturesを設立。

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大久保洸平
大久保洸平
一般社団法人日本オムニチャネル協会監事。 東京工業大学大学院(技術経営専攻)卒業後、ヤフー株式会社に入社。Yahoo!ショッピングにて、出店企業へのコンサル営業、サービスEC事業立上げ、広告企画の業務に従事。またCSO(Chief Strategy Officer)室にて調査業務も担当。2017年よりYJキャピタル(現Z Venture Capital)に参画。コマース領域を中心としたスタートアップ支援に注力。2022年にNew Commerce Venturesを設立。

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