1週間のコマース領域の注目ニュースとスタートアップを紹介します。
ソーシャルグッドなECサービス「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシが上場承認を受け、6月30日上場予定です。
クラダシは、2014年7月創業、2015年2月に「Kuradashi」をサービス開始。フードロスの削減を目的にメーカー・卸・小売のまだ食べられるにも関わらず廃棄される商品を低価格で販売、売上の一部を環境保護・災害支援に寄附するソーシャルグッドなECサービスとして成長してきました。
2022年6月期実績は売上高20.7億円(前期比64.1%増)、営業損失7400万円、純損失8000万円、2023年6月期予想は売上高30.0億円(前期比44.9%増)、営業損失1.64億円、純損失1.7億円となっています。現在のUU数は24,622人、低価格を売りにしていますが、まとめ買いによりARPUは9104円となっています。
環境省や農林水産省等の各表彰や承認ハードルが高いと言われるB Corp認証を取得するなどソーシャルグッドと経済性を両立するビジネスを創りあげています。
今回の上場では発行済み株式数9,613,358株に対して、公募株数1,150,000株、売出株数2,645,000株(24.5%)で想定時価総額53.8億円が予定されています。
参考記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000431.000014485.html
Googleは、ブランド企業が商品画像を無料で作成できるGenerative AIツールをリリースしました。このツールでは、商品画像の雰囲気や背景イメージを指示するプロンプトを入力することで簡単にオリジナル商品画像を生成できます。
さらに低解像度の画像の高画質化や画像の商品切り抜きもできるため、再度撮影することなく自分好みの新たなオリジナル画像を生成することができます。
Googleショッピングでの掲載画像や広告キャンペーンでの使用を想定しており、2024 年中に世界展開を予定しているそうです。
5月上旬にはMetaが同様のサービスをリリースしており、スタートアップでもFlair AIや商品画像・広告文の両方を自動生成するTypeface 等類似サービスが続々とリリースしています。国内においても類似サービスが複数生まれており、スタートアップが勝ち抜いていくには、汎用的なサービスではなく業界の商習慣や業務プロセスに最適化したソリューションが必須と考えています。
Warby ParkerやGlossier、Away等多くのD2Cブランドやコンシューマーサービスに対する投資を強みとする米国のベンチャーキャピタルForerunner Venturesが、ブランドパワーを可視化〜評価できるフレームワーク「ブランドパワースコア」を一般公開しました。
過去10年間多くのブランドに投資してきたForerunnerでは、このブランドパワースコアを元にブランドの評価と投資検討を行ってきたそうです。
ブランドパワーはFeelings(感情)、Reliability(信頼性)、Identity(アイデンティティ)、Experience(経験)、North Star(北極星=目標)、Differentiation(差別化)の6つの項目をアンケート調査を通じて、スコア化しています。
ブランドパワースコアの公式サイトでは、ピクサーやダイソン、ハーレー等の有名ブランドのスコアも掲載されており、自社ブランドとの比較が可能です。
参考記事:https://brandpowerscore.com/
設立年:2014年
国:米国
直近調達:16Mドル/23年5月/Series B/
累計調達金額:35Mドル
主要投資家:500 Global, Valor Equity Partners, Craft Ventures, Grotech Ventures, Halcyon Incubator
会社HP:http://datasembly.com
事業概要(2023年5月 調達時点):
・米国中の店舗内商品のリアルタイム価格DB・BI
・小売・CPGブランド向けに提供。店舗×商品単位での価格DB
・例)”同地域の競合店舗”での”ペプシ”の販売価格などを検索可能。自社の価格設定等に活かせる
・120億の価格/値引き/品揃え情報を15万店舗に渡り(リアル店舗中心)毎週収集
・データソースは公開情報・3rdpartydataを統合
・ターゲットやウォルグリーン等230の小売店、ネスレなどのブランドなど数百社がパートナー
・課金はデータ取得したい店舗・商品数に応じて変動
設立年:2022年
国:米国
直近調達:15Mドル/23年5月/Series A/
累計調達金額:20Mドル
主要投資家:Susa Ventures, Google Ventures, Blackbird Ventures, MANTIS Venture Capital, Liquid 2 Ventures
会社HP:http://joincheckmate.com
事業概要(2023年5月 調達時点):
・クーポンコードを自動集約しお得にお買い物できるアプリ/拡張機能
・クーポンコード、ギフトカードをインターネット上・自身のメール受信箱から収集し決済時に自動適用
・ユーザーは簡単に、競合サービスの2倍お得にお買い物が可能
・配送のトラッキングもアプリから可能
・対応サイトは4万+
・22年末にアプリストア1位獲得しユーザー数は40万超え(6万DAU)、Tiktok・Instagramで60万フォロワー
・ビジネスモデルはアフィリエイト型で1%-7%の収益
調達ニュース:https://techcrunch.com/2023/05/25/celebrity-investors-pile-into-consumer-savings-startup-checkmate/
設立年:2020年
国:米国
直近調達:115Mドル/23年5月/Series C/
累計調達金額:115Mドル
主要投資家:Blockchain Capital, Distributed Global, a16z crypto, Bain Capital Crypto
会社HP:https://worldcoin.org/
事業概要(2023年5月 調達時点):
・虹彩認証によるID・tokenの発行
・Orbと呼ばれるデバイスで虹彩認証しWorldID生成、トークンWorldcoinがもらえる
・生成系AIが普及する中で、人間であるか、AIであるかの判定に活用可能(ツイッターのbot判定など)
・虹彩データは「irishHash」と呼ばれるデジタルコードに変換され、虹彩の画像データは保持しないことで安全性を担保
・worldcoinを世界中に配布し金融サービスのアクセスを向上し経済格差をなくすことが目標
・既に2百万人の目をスキャン
・虹彩は指紋・顔認証等と比較しても高い正確性
・Orbデバイスは300個運用中で、2000個製造中
・将来AIが創出する利益をworldIDと紐づけ分配するといった構想も
調達ニュース:https://techcrunch.com/2023/05/26/explaining-blockchain-capitals-big-bet-on-an-eyeball-scanning-orb/
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