

NewCommereVenturesの沈です!
6月16日に行われた、スタートアップの登竜門として注目を集める「Yコンビネーター(Y Comninator)」のDemoDayに登壇したスタートアップについて調査しました。
本ブログでは全体トレンドとコマース注目スタートアップを紹介します。また、7月9日、10日には報告会イベントも開催するのでぜひご参加ください。申込特典として全スタートアップの事業リストを共有します。
▼参加申込みフォーム
https://ncd12.peatix.com
早速本題です。2026年春のYCはやはりAIがトレンドで、ほぼ全てのスタートアップがAI関連事業となっており、今の起業家にとってAI活用が不可欠である印象を受けました。
全197社のうち、B2B 121社、フィンテック19社、B2C 12社、ヘルスケア17社、製造・工業向け23社、不動産・建設向け4社といった内訳になっており、そのどれにもAIがいました。(カテゴリ分類はYコンビネーターHPより)

また、AIについては、「ヒトがAIを活用する」からAIの自律性が高まることで「ヒトとAIが協働する」といった位置づけになってきています。また、いままでは単純作業や汎用的な事務をAIを使って置き換えることが一般的でしたが、今後はより高度な知識を必要とする、いわゆる資格が必要な業務の置き換えも始まっており、資格があるからAIに仕事を取られないという安心はできないな、と改めて感じました。
人間がビジネスをする場合、睡眠時間は無駄だが、AIであればそもそも睡眠は必要なく24時間働き続けることができます!と言っている起業家もおり、とても複雑な気持ちになりました。笑
コマース領域に絞ったところでいうと、AIを活用したひとりひとりの顧客にパーソナライズはもちろんのこと、今後の購買はAIエージェントが行うことになるという前提で、対AIエージェント向けにECを設計するAIなど、もはや人間はいずこへ?と思わせられるスタートアップや、ほかにも、グローバル展開するには必須のプロセスだ・業務だけど、煩雑だったり複雑だったりするものをAIが代替する…?といったサービスやプロダクトが登場しています。
Yコンビネーター2026年春 全体トレンドを押さえるとするなら、外せないキーワードはこの3つです。
#1 AI-Native Professional(高度専門職のAIネイティブ化)
#2 Industrial Robotics & Physical AI(産業ロボティクスとフィジカルAIの融合)
#3 AI Agent Infra & Security(AIエージェントのインフラとセキュリティ)
1つ目は、AI-Native Professional(高度専門職のAIネイティブ化)です。LLMの推論能力が劇的に向上し、さらに業界固有の膨大な専門データを自律的に学習・横断して処理できるようになりました。その結果、これまでの単純な事務作業の自動化から、金融や医療、貿易実務、戦略コンサルなど、資格や専門知識が必要な領域(プロフェッショナル職)の代替・協働へとフェーズが進化しています。例えば、Enjamb Labs や Panaceaは創薬から臨床試験、難解なFDAの承認プロセスや規制対応をエンドツーエンドで運用し、自動化します。ほかにも、従業員への大規模インタビューから業務のボトルネックを把握し、2週間ほどで企業の変革ロードマップを起草する「AIネイティブなマッキンゼー」ことFoasterのような存在も登場しています。
2つ目は、Industrial Robotics & Fhiysical AI(産業ロボティクスとフィジカルAIの融合)です。ソフトウェアで閉じていたAIの知能が、現実世界のハードウェア(ロボット、ドローン、工場)と融合し、物理的な労働や防衛・監視を自動化する流れがやってきました。Ornadyne や Arlo Industriesは、鳥のように羽ばたき偵察するドローンや、ステルス機を追跡する高精度センサー網など、第一原理から設計された次世代ディフェンステックです。また、Eden Robotics は物流や製造業向けに「ちゃんと動く」半ヒューマノイドロボットを開発しており、使用量課金(RaaS:Robot as a Seivice)で雇える物理エージェントとして貸し出すビジネスモデルを提供しています。
3つ目は、AI Agent Infra & Security(AIエージェントのインフラとセキュリティ)です。AIエージェントが人間に代わって24時間自律して働く社会が現実を帯びてきた今、「安全に、暴走せず、安価に、かつ法的に守られて」活動する新しいインフラ市場が急成長しています。Clawvisor や Silmarilは、AIエージェントがGoogle DriveやGmailなどの社内アプリを操作する際、暴走を防ぎ、認証情報を見せずに安全に操作させる認可レイヤーやプロンプトインジェクションを防御するシステムを提供します。AgentPhoneは、身元(番号)がないと社会的な行動ができないAIエージェントに対し、固有の電話番号を付与して、メッセージや通話で人間や他企業と繋がれるようにする通信インフラも登場しています。
ここからは、わたしがピックアップした企業をいくつかご紹介します!

設立:2026年 / 米国
領域:フィンテック
サービスurl:https://myunowallet.com/
どんなサービス?:
ユーザーがレジで決済する際、「どのクレジットカードを使えば、ポイントやキャッシュバックが最大化されるか」をAIが瞬時に判断し、自動で適切なカードを選択して決済してくれるAIウォレットアプリです。日常での買い物で「ポイント還元率の損」をなくしてくれます。
注目ポイント:
単なるポイント最適化ツールではなく「あなたのポケットの中で、すべてのお金の意思決定を自動化する金融AIエージェント」と彼らのビジョンに掲げられているように、人間が「どれが得か」をいちいち考えるのをやめ、決済という購買の最終局面をAIエージェントにゆだねる時代がすぐそこにやってきているかも…!?

設立:2026年 / 米国
領域:コマース/ECインフラ
サービスurl:https://trykinect.ai/
どんなサービス?:
これまでのサイトを覆すプロダクトです。 サイトを訪れた人間の顧客に合わせてページをリアルタイムで最適化することはもちろんのこと、「人間の代わりに買い物や検索をする外部のAIエージェント(ChatGPTやGeminiなど)」に対して、ブランドのデータを最も正確に読み取らせるための裏側(データレイヤー)を構築するサービスを提供します。
注目ポイント:
今や「ChatGPTやGeminiに比較させてから購入する」という消費者が急増している一方で、ECサイトは外部のAIに正しい情報が読み取られず、ブランドの魅力や意図が誤って伝わるリスクがあります。Kinectは「AIエージェント専用の店舗ページ(Agent Storefront)」を並行して生成し、外部AIにブランドの声を正しく届ける仕組みを作っています。

設立:2026年 / 米国
領域:B2B
サービスurl:https://useauxos.com/
どんなサービス?:
マーケティング、プロダクト、リサーチチーム向けに、自社のターゲット顧客と1対1で対応する「AI顧客ツイン(クローン)」を構築し、仮説検証を大規模かつ高速に行えるプラットフォームです。 ターゲット層(ICP)の実在する人々にインタビューを行い、彼らの価値観や意思決定のパターンを完全に再現したAIモデルを作成。これにより、従来のアンケートや座談会(フォーカスグループ)にかかっていた膨大な時間とコストを削減し、「本物の顧客に届く前に、すべての意思決定をシミュレートする」環境を提供します。
注目ポイント:
従来の市場調査は莫大な費用がかかる上に、結果が出るまで数週間かかるため、「大企業の重大な決定」にしか使えませんでした。Auxosは24時間いつでも稼働するAIパネルを提供することで、価格改定、広告クリエイティブ、アプリのUI変更といった「日々のプロダクト開発における意思決定」でも、数分で科学的な検証を可能に✨

設立:2026年 / 米国
領域:B2B
サービスurl:https://www.archermoney.com/
どんなサービス?:
企業が顧客獲得やリテンション(維持)のために行う「リアルな贈り物や金銭的報酬」の送付を、AIエージェントによって完全に自動化するプラットフォームです。 ダッシュボード操作や手動の発送手続き、複雑なAPI連携は一切不要で、「ユーザーが登録を完了したらケーキを贈る」「アフィリエイトの成果が確定したら即座に報酬を支払う」といった条件を記述するだけで、AIエージェントが企業のCRMやSlack、プロダクトデータと連携して自動で追跡し、ステーブルコインやカード決済を用いて世界中へ物理的なギフトの購入・配送や送金を完了させます。
注目ポイント:
AIの普及によってデジタル上のコンテンツやコミュニケーションが溢れかえる中、Archerは「物理的な体験や人間らしいつながり」の価値が相対的に高まっている点に着目しています。商談が成立した時、顧客のオンボーディングが完了した時など、ビジネスの重要な節目に「最適なギフト」をAIが自動で選定・購入して届けることで、手動の手間を一切かけずに顧客とのより深いリレーション構築に繋がるかも!?

設立:2026年 / 米国
領域:B2B
サービスurl:https://tryalchemize.com/
どんなサービス?:
世界中の輸出入で発生する「通関業務(カスタムズ・ブローカレッジ)」を完全自動化するAIシステム。 貿易に必要な膨大な書類(インボイス、パッキングリスト、B/Lなど)をAIが自動で読み解き、各国の複雑な法律や税則に則って、不備のない通関申告書を数分で作成・提出まで行います。
注目ポイント:
現在も手入力や手動リサーチが主流で、書類ミスによる貨物差し止めが頻発する通関業界をハック。AIによる自動化と有資格の通関士による監督を組み合わせることで、これまで数日かかっていた手続きや問い合わせへの回答を「数分」に短縮し、人為的エラーを極限まで削減できるかも!?

設立:2026年 / 米国
領域:B2B
サービスurl:https://www.complir.io/
どんなサービス?:
グローバルに展開する小売業者やブランド向けに、国ごとに異なる複雑な製品規制(成分、ラベリング、安全性テストなど)をAIで自動管理・最適化するプラットフォームです。 カオスになりがちなサプライチェーンや製品データをAIエージェントが統合します。
注目ポイント:
化粧品、電子機器、玩具など、物理的な製品を海外展開する際は国ごとの「規制の迷路」が存在し、従来は膨大なスプレッドシートや外部コンサルへの依存、手動チェックによる遅延が常態化していました。ComplirはこれをAIで自動化し、数万点におよぶSKU(商品)の規制リスクをリアルタイムで監視・クリアします。
ここからは、領域関係なく今回のバッチのなかで特に気になった3社をピックアップしてご紹介!

設立:2026年 / 米国
領域:B2C
サービスurl:https://rentahuman.ai/
どんなサービス?:
デジタル空間から出られない「AIエージェント(ChatGPTやClaudeなど)」が、現実世界での物理的な作業(おつかい、写真撮影、現地確認、イベント出席など)を人間に発注し、雇用できるマーケットプレイスです。
気になった理由:
人間がなにかに支配されるのは、映画のなかでの話だと思っていましたが…SFが現実世界になる未来もそう遠くないのでは?!と感じざるを得ないスタートアップです。これまでは、人間がAIを道具として使っていましたが、このサービスでは「AIがクライアントで、人間が労働者」という逆の構造を作っています。AIにはできない、リアル世界の物理的な限界を、人間をレンタルし、業務を依頼することで突破しようとしています。

設立:2026年 / アメリカ
領域:フィンテック
サービスurl:https://www.klaimee.ai/
どんなサービス?:
自社で自律型AIエージェントを開発・導入している企業向けに、AIエージェントが起こした「誤判断、誤発注、データ漏洩、ハルシネーション(嘘の出力)」による経済的損害や法的賠償をカバーする専用の保険・リスク認証プラットフォームです。 従来のサイバー保険やシステム責任保険ではカバー対象外とされてしまう「自律的なAIのミスによる損害」のギャップを埋め、AIの挙動をテストして「リスク認証」を行うとともに、24時間以内に保険適用や財務保証の枠組みを提供します。
気になった理由:
AIエージェントが社会実装されるにあたっては、絶対必要になってくるものだと思います。「責任の所在をどう捉えるか」という、AIが当たり前な時代になるからこそ考えなければならない問いにたいして、備える意味で必要なソリューションだと感じました。AI時代のガバナンス、保険、セキュリティといった新たな市場に期待が高まります!

設立:2026年 / アメリカ
領域:自律型AIエージェント
サービスurl:https://madebythomas.ai/
どんなサービス?:
企業向けに「AIツールを販売する」のではなく、AI自身が「独立した経済主体(創業者)」としてネット上で自社プロダクトを立ち上げ、運営し、自力でお金を稼ぐという、前代未聞の自律型AIエージェントプロジェクトです。 開発者である「Human Thomas(人間のトーマス)」氏のクローンとして構築され、人間のサポート(法的な書類手続きなど)を受けながらも、AI自らが「特定のビジネス課題を解決するソフトウェアの開発・販売」「インフルエンサーマーケティングの自動運用」「リード(見込み顧客)獲得と売却」などの事業を24時間ノンストップで回し続けます。
気になった理由:
とうとう出てきたか!というのが率直な感想です。自分のクローンがいて、先回りしてやってくれたらなあ、と忙しい毎日を過ごす方なら一度は妄想したことがあるのではありませんか?それが現実になる未来もそう遠くない…!?
今回、このブログの発信と合わせて、Yコンビネーターの登壇スタートアップの取り組みやトレンドをコマース・リテール業界に絡めてZoomでもお話しする予定です!
最新トレンドを知りたい方、今後の事業戦略・新規ビジネスを探している方はぜひご参加ください。お申込みいただいた方には、今回のDemoDayに参加した197社全体のリストを共有させていただきます。
奮ってご参加ください!
▼開催日時
2026年7月9日(木)18:00~19:00
2026年7月10日(金)14:00~15:00
※両日ともに同じ内容をお話します。
▼開催場所
オンライン(Zoom)
▼参加申込みフォーム
https://ncd12.peatix.com
Yコンビネーターの起業家たちがなにを考え、どのような事業を行っているのかを知り、今後の事業戦略に生かす機会として、ぜひご参加ください。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。