今回は、労働人口の減少に伴い、小売・流通領域においても活用が進む海外人材採用について、国内動向と海外人材採用を支援するスタートアップをまとめました。
2024年7月イオンは、主に食品スーパー内での総菜加工や施設の清掃人員の確保を目的として、2023年から2030年度までに4,000人の特定技能外国人の受入計画を発表しました。同じく物流大手のセンコーグループHDは、2032年までに特定技能資格外国人ドライバーを100人採用する計画を発表しています。
2023年の日本の労働人口は7450万人、2040年には5978万人と1000万人以上の人手不足が予測されています。(内閣府/令和4年版高齢社会白書)
帝国データバンクの調査では、物流業界で63.5%、小売業界で60.8%の企業が人手不足と回答しており、人手不足を起因とする倒産も過去最多となっています。
日本人だけではこれまでの人手を補うことができない状況下で、海外人材の活用はますます重要性が増していくと考えられます。
そもそも海外人材を採用する際は、在留資格(就労ビザ)をもった人材を採用しなければなりません。この在留資格は、16種類ありますが、日本人労働者の保護の観点から「特定技能」「技能実習」を除き、専門性の高い業種に限定されています。
<就労ビザで就労可能な16業種>
・技術・人文知識・国際業務
・介護
・企業内転勤
・経営・管理
・技能
・興行
・教育
・研究
・医療
・芸術
・宗教
・報道
・法律・会計事務
・教授
・特定技能
・技能実習
一方で人手不足が顕著な業種では、高度な専門性を有していない場合も一定の試験を通過することで得られる「特定技能」や日本での技術習得を目的とした「技能実習」という在留資格が存在しています。
人手不足が深刻な業種では、この「特定技能」「技能実習」の人材活用が期待されますが、「特定技能」「技能実習」も対象業務が細かく規定されています。
<特定技能の対象業種>
<技能実習の対象業種(日本産業振興協同組合)>
※「技能実習」は、日本での技術習得を目的としており、帰国前提となっていましたが、日本の発展のための人材育成と人材確保を目的とした新たな在留資格「育成就労」を2027年内までに開始、2030年までに「技能実習」は廃止となる予定です。
小売・流通領域では、2024年3月の閣議決定にて「自動車運送業」が追加され、飲食料品製造分野では、これまでの工場内での食品加工業務に加え、スーパーマーケット内での総菜加工業務も可能となりました。これにより冒頭のイオンやセンコーでの採用拡大が進んでいます。
一方で、「スーパーマーケット内での惣菜加工業務はできても販売業務はできない」や「運送はできても倉庫内での搬送はできない」のように現実の作業実態にはなかなか適していない業務区分もあり、人手不足の深刻化に伴い、緩和が進んでいくと考えられます。
海外人材の活用を支援するスタートアップも多く存在しています。
株式会社YOLO JAPAN(在留外国人の求人メディア)
様々な在留資格の在留外国人が登録する求人メディア「YOLO WORK」を提供
https://www.yolo-work.com/
Guidable株式会社(在留外国人の正社員・派遣・アルバイト採用支援)
在留外国人の正社員、派遣、アルバイトの採用に加え、特定技能人材の採用等幅広く採用支援を展開
https://guidable.co.jp/
株式会社エルティービー(物流領域の在留外国人採用支援)
物流領域を対象に様々な在留資格の在留外国人の採用と育成を支援
https://livetobusiness.co.jp/
トクティー株式会社(特定技能人材のマッチングプラットフォーム)
特定技能人材を採用したい企業と外国人特定技能人材のマッチングプラットフォーム「tokuty」、在留カードの真贋判定と翻訳チャット機能を搭載した在留外国人労務管理アプリ「Connectee」を提供
https://corp.tokuty.jp/
株式会社one visa(企業向けビザ申請・管理支援サービス)
企業向けのビザ取得・管理ツール「one visa」や特定技能の登録支援機関向け管理システムを提供
https://www.onevisa.co.jp/
株式会社CROSLAN(企業向け特定技能外国人管理サービス)
企業向けに特定技能外国人の各種申請や面談等の一元管理ツール「SMILEVISA」を提供
https://www.smilevisa.jp/
株式会社Linc(企業向け海外人採用管理〜定着支援サービス)
企業向けに海外人材の採用管理から研修育成を通じた定着支援サービスを提供
https://linc-info.com/
このように特定技能に限らず幅広い在留資格の海外人材の採用から管理、特定技能人材の受け入れ機関としての業務支援、採用後の定着支援をはじめ、様々な海外人材の採用支援サービスが存在しています。
海外人材の採用支援サービスは、不動産、銀行口座開設、クレジットカード、携帯電話の契約等の周辺領域でのマネタイズ、外国人に対する福利厚生・オンボーディング、リファラル制度等の周辺領域によるアップセルも期待でき、今後ますます成長すると感じています。
このような海外人材採用の支援サービスを検討している方がいらっしゃれば、ぜひお話しさせてください!以下Xへご連絡いただければと思います!
▼DMはこちらまで
https://twitter.com/KTMY0507